2020/5/25
5月20日現在、世界中から「WHOのための新型コロナウイルス感染症連帯対応基金」(以下、本基金)に寄せられた寄付額は2億1400万ドル(約231億円)に達しました。約35万7000人の個人と約140社からのご寄付です。このうち、日本国内の寄付額は10億円に上ります。皆様のご支援に感謝いたします。
2億ドル超という金額は、WHOに対する一国の政府拠出に匹敵あるいは凌ぐ規模で、現在、本基金は、WHOの新型コロナ対応を支える最大の資金源となっています。公的資金に比べ、柔軟に使える資金を迅速に集めることができるのが民間の資金調達の特徴です。4月3日以来、毎週1回のペースで寄付金を送り、様々なWHOの活動に使われています。

ご寄付は医療現場で役立っています
現在の喫緊のニーズは、保健医療の現場で必要な物資の不足です。WHOは最も必要な個人防護具(マスクやゴーグル、ガウンなど)と検査キットを135ヵ国に届けており、日本からの寄付を含む当基金の寄付金はその主要な資金源の一つとなっています。5月1日現在、WHOが届けた個人防護具と診断キットの数は以下の通りです。
- サージカルマスク 420万枚
- N95 マスク 16万6950枚
- 手袋 290万枚
- ガウン 26万5459枚
- ゴーグル 4万167個
- フェースシールド 17万586個
- 診断キット 129ヵ国に150万キット
また、WHO主導で立ち上げた「国連COVID-19サプライチェーン・タスクフォース」にも当基金の資金が投入され、官民共同のプラットフォームとして必須物資を世界に提供しています。さらに、54ヵ国が参画する新型コロナウイルス感染症に対するWHOの血清学的国際研究「Unity Studies」にも、当基金の資金が使われています。一般集団間でのCOVID抗体を検査する研究で、感染経路や感染率を知ることで、将来の公衆衛生の手引きとなります。
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寄付金の配分
日本からのご寄付を含む当基金の寄付金は、5月14日現在、その半分以上が既に以下の通り配分されています。上記の通りのWHOの活動に加え、WHOが「新型コロナウイルス感染症戦略的準備・対応計画」 を実施するために不可欠だと判断するパートナー組織にも、WHOの要請を受けて配分されています。その時々の新型コロナウイルス感染症との闘いの状況に応じ、最も優先すべき分野とパートナーに資金が投入されています。
基金に寄せられた寄付金の資金配分状況(5月14日現在)

WFP(国連世界食糧計画)は、新型コロナウイルス拡大を防ぐための医療用品を、最も必要とする国々に空輸しています。WHOは、WFPの「国連連帯航空」(UN Solidarity Flight)の運行を支援しており、本基金から2000万ドルの拠出が決定ずみです。4月14日には第1便がアジスアベバ空港に到着し、アフリカ51か国向けの医療用物資が届けられました。

ユニセフ(国連児童基金)は、医療体制が脆弱な国々の子どもたちと家族がエビデンスに基づいた情報を得て、新型コロナウイルス感染症の拡大から身を守ることができるようにしています。また、水や衛生、感染予防のための基本的な手段を提供し、特に弱い立場にある家族や子どもたちがケアを受けられるよう支援しています。 ユニセフの活動はこちら

Photo credit: UNICEF/Ojo
CEPI(感染症流行イノベーション連合)は、世界連携でワクチン開発を促進するため、2017年1月ダボス会議において発足した官民連携パートナーシップ組織です。平時には需要が少ないが世界規模の流行を生じる恐れのある感染症に対するワクチンの開発を促進し、流行が生じる可能性が高い低・中所得国でもアクセスできる価格でのワクチン供給を目的としています。新型コロナウイルスに対するワクチンについては、WHOと連携しつつ、臨床試験に進んでいる3つのワクチン候補を含めた、9候補の研究開発を支援しています。

資金ニーズ
WHOは、新型コロナウイルス対策資金としてして2020年末までに17億ドル(約1836億円)が必要であると発表し、引き続き大きな資金を必要としています。5月20日現在、各国政府や国際機関、当基金などから総額6億3700万ドルの資金が支払われていますが、まだ約11億ドルが不足しています。
WHOの新型コロナウイルス感染症への対応ー資金ニーズの詳細
- 国際的な調整と実施: 2億3,700万ドル
- 脆弱かつリスクの高い国々での準備・対応: 13億5,000万ドル
- 調整や技術支援:2億5,000万ドル
- 個人防護具などの必須物資や資材:6億5,000万ドル
- 緊急的保健対応:4億5,000万ドル
- 治療、検査、ワクチンの研究開発の加速:1億3,800万ドル
引き続き皆様からのご支援をいただきますよう宜しくお願い致します。