COVID-19 Solidarity Response Fund for WHO

WHOのための新型コロナウイルス感染症連帯対応基金

ブルキナファソの新型コロナパンデミック対応への支援

2020/12/8

WHOは連帯基金からの支援を受けて、世界で最も困難な状況におかれている国や地域での新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)への対応を支援しています。

その国の一つであるブルキナファソでは、新型コロナの影響により暴動や紛争が増加しています。ブルキナファソでは3月9日に新型コロナの最初の症例が確認されましたが、それ以前から複雑な人道的・安全保障上の危機に直面していました。2020年10月までに、反政府勢力による暴動や武力衝突が激化したことにより、220万人以上の人々が影響を受け、100万人以上の民間人が避難を強いられています。
  

Photo credit: WHO

保健医療サービスへの需要は高まっているにも関わらず、暴動と武力衝突の激化の影響により、ただでさえ脆弱な保健医療インフラのうち機能している保健医療施設の数が減少しています9月だけで、閉鎖された保健医療施設の数は95にのぼり、それは国内で紛争が起きている6つの地域の保健医療サービスの8.5%にあたります。ブルキナファソの保健医療インフラは未発達で、特に新型コロナ対応に影響するデータシステムや救急医療も不十分です。

「WHOのガイダンスや支援は、新型コロナの緊急事態が始まった当初から役に立ってきました。私たちは、新型コロナのパンデミックに対する準備・対応計画の策定と実施を確実にすることにより、パンデミック当初から国の準備を支援してきました。」と、WHOのブルキナファソ代表であり、保健医療分野における技術・財政パートナーの責任者であるアリマタ・J・ディアラ=ナマ氏は述べています。
  

ブルキナファソの新型コロナ対応方針を定める

状況が急速に変化する中では、正確な情報へアクセスすることが最も重要です。24時間365日体制で動いているディアラ=ナマ氏は、毎朝新型コロナのパンデミックに関するWHOの最新情報をチェックすることから仕事を始め、その後スタッフや現地のパートナー、保健省の職員と情報を共有し、国の対応について全員が等しく理解しているかどうかを確認します。そして、インシデントマネージャー(日々、緊急対応を監督する連絡窓口)と連絡を取り、課題や進展について話し合うことで一日の仕事を終えます。

情報共有はWHOのブルキナファソでの新型コロナ対応における重要な要素であり、その中には調査活動を支援する疫学コンサルタントの派遣や、セキュリティ強化による医療チームが僻地にアクセスするための支援のほか、感染予防・管理サービスなどが含まれています。

WHOは検査の分野でもブルキナファソを支援しています。感染症の発生当初、世界的に需要が高く供給量が少ないために、ブルキナファソの研究所では検体を輸送するための機器が不足していました。ディアラ=ナマ氏によると、保健当局は国内各地の専門知識とWHOの専門知識を組み合わせることで、供給量の増加を待つ間、それらを自分たちで生産することができたとのことです。

6月には、WHOの支援により全国の保健医療施設に13の新しいトリアージセンターが設立されました。センターには、手洗い場、患者や来訪者の検温をする場所、患者を隔離するための待合室などが設置されています。ディアラ=ナマ氏は、これらのセンターは新型コロナのピークが過ぎた後も、保健医療従事者や患者を感染から守るために役立つと考えています。
   

Photo credit: WHO


さらに、「ブルキナファソの保健大臣は、WHOがこの国を助けることができると確信しています。問題が発生したり、物資が不足したりしたときはいつでも、24時間体制でWHOに頼ることができるとわかっていました」とディアラ=ナマ氏は語っています。

新型コロナの緊急事態において、WHOの支援はその他以下の面で重要な役割を果たしています。

  • 550人以上の保健医療従事者を対象とした、新型コロナへの最善な治療方法に関するトレーニングを支援(4月)
  • 大規模な医療物資の支援や、中国から派遣された専門家チームが、中国の初期の経験に基づき感染症対策を支援するよう調整(4月)
  • 医療機器の追加寄贈と多額の支援金援助、また60名以上のWHO国内スタッフによる支援
  • ブルキナファソの研究能力の評価と、その強化のための協力

       

誰ひとり取り残さない

人口約2,000万人のブルキナファソでは、総感染者数2,241人(10月11日現在)、死亡者数60人と、近隣諸国に比べて患者数は少ないですが、ディアラ=ナマ氏によると、この疾病による影響の一つは、世界の他の地域と同様に、他の不可欠な保健医療サービスを低下させていることだ、と言います。

「最初の3ヶ月間は、ひたすら新型コロナの対応にあたるのみでしたが、今、私たちは他の公衆衛生上の課題、特に保健医療サービスの継続性の維持に焦点を当てることができる段階に入っています。この中には、特に子ども、高齢者、慢性疾患を持つ人々、マイノリティの人々、障害を持つ人々など、最も脆弱な立場にある人々への予防・治療サービスが含まれます」とディアラ=ナマ氏は語ります。

彼女は同僚と一緒に、ブルキナファソで高い罹患率を誇るマラリアや、ポリオワクチン接種、HIV、母子保健など、他の保健医療問題に再び焦点を当て始めました。ディアラ=マナ氏は「私たちは新型コロナの最中でも、他の問題を蔑ろにせず確実に取り組まなければなりません」と話します。

ブルキナファソの新型コロナ対策には多くの課題が残されています。ディアラ=ナマ氏によると、陽性と判定された人に対するスティグマ、ウイルスに関する誤った情報、安全対策への抵抗などが挙げられます。 こうした課題を抱えながらも、同国は慎重に学校や空港の開放などの抜本的な対策を見直し始めています。また、WHOはこの過程でガイダンスやリスク評価の支援を行っており、引き続き現地の状況をモニタリングしています。

    

関連リンク:
WHO PROVIDES A GUIDING LIGHT FOR BURKINA FASO’S COVID-19 PANDEMIC RESPONSE

 

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